細菌性食中毒
-腸管出血性大腸菌感染症
(O157、O26、O111など)-

腸管出血性大腸菌で汚染された牛肉(生または加熱不十分)などさまざまな食品を食べることで感染し、水のような下痢、激しい腹痛、血便などの症状があらわ
れる感染症です。
気温が高い初夏から初秋にかけて流行することが多いですが、気温の低い時期
でも発生がみられます。

症状

  • 多くの場合、最初に水のような下痢が頻繁に出て、激しい腹痛を伴います。
  • その後、出血性大腸炎となり、血便がみられることがあります。
    血便は、初めは血液の混入は少ないですが、次第に増えていき、便は少なく
    血液そのものという状態になります。
  • 発熱はあっても、多くは37度台であり、短時間で回復します。
  • 全く症状が出ない場合や軽い腹痛や下痢のみで終わる場合もあります。
  • 症状のある人の6~7%が、症状発現の数日~2週間以内(多くは5~7日後)に、溶血性尿毒症症侯群(HUS)や脳症などの重症な合併症を起こします。
    溶血性尿毒症症侯群(HUS)では、尿量が減ることで出血しやすくなり、
    意識障害をきたします。
  • 若齢者や高齢者などでは、重症化することや亡くなることがあり、激しい
    腹痛と血便がある場合には、特に注意が必要です。

感染経路

  • 経口感染、糞口感染
  • 腸管出血性大腸菌で汚染された食品(生または加熱不十分な牛肉など多岐に
    わたる)や水を摂取することで感染します。
  • 菌が付着した手で食事をすると感染します。
  • 感染した人や動物の便で汚染されたものを何らかの経緯で口に入れることで
    感染します。
  • 腸管出血性大腸菌は、牛などの動物の腸管内にも生息しており、動物と接触
    することで感染することがあります。
  • 殺菌不十分な井戸水などの水を介して感染することがあります。
  • 咳、くしゃみ、汗、会話などでは感染しません。

予防

  • 生肉または加熱不十分な肉を食べないようにしましょう。
  • こまめな手洗い、消毒などの一般的な予防法を実施することが大切です。
    流水による手洗いができない場合には、手指消毒用エタノールなどを利用
    しましょう。
  • 動物や土と接触した後は必ず体を洗いましょう。
  • 調理から時間を空けずに肉などの食品を食べきるよう心掛けましょう。
  • 調理をするときは、食材をよく洗い、肉は中心部までしっかり加熱しま
    しょう。
  • 肉は他の食品(特に加熱せずに食べるもの)と調理器具や容器を分けて調理や保存を行いましょう。

治療

  • 下痢、腹痛、脱水に対しては水分補給、補液(点滴)などが行われます。
  • 抗菌薬は症状を悪化させることもあるため、使用するかどうかについて慎重に判断されます。

病原体

  • ベロ毒素を産生する腸管出血性大腸菌(O157、O26、O111など)
  • 牛などの家畜や人の便に含まれていることが時々あります。

潜伏期間

3~5日

文献
こども家庭庁: 保育所における感染症対策ガイドライン(2018年改訂版)2023(令和5)年5月一部改訂<2023(令和5)年10月一部修正>.
厚生労働省: 腸管出血性大腸菌Q&A.
厚生労働省検疫所 FORTH: 腸管出血性大腸菌感染症.
国立感染症研究所: 腸管出血性大腸菌感染症とは.
などを参考にして作成

関連リンク

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