2024/07/08

体外診断用医薬品「塩野義製薬 MICドライプレート セフィデロコル」の 国内における発売について

塩野義製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼社長CEO:手代木 功、以下「塩野義製薬」)は、グラム陰性菌感染症治療薬「フェトロージャ点滴静注用1g」(一般名:セフィデロコル、以下「フェトロージャ」)に対する感受性を測定するための体外診断用医薬品「塩野義製薬 MIC*ドライプレート セフィデロコル」(以下「本プレート」)を、2024年7月8日に発売したことをお知らせいたします。

*MIC(Minimum Inhibitory Concentration)最小発育阻止濃度:細菌の増殖を阻止するための最小薬剤濃度。MIC値が低いほど、その抗生物質の効果が高いことを表す。

 

薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)対策として、感染原因と考えられる菌に対する薬剤の感受性を測定し、原因菌を特定した上で適正な抗菌薬を使用することは、新たな薬剤耐性菌の出現を抑える観点から重要です。本プレートの発売により薬剤感受性検査体制が充実することで、フェトロージャのより適正な使用に貢献することが期待されます。

 

塩野義製薬は、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)として「感染症の脅威からの解放」を特定し、感染症のトータルケアの実現に向けた取り組みを進めております。グローバルの課題であるAMRの対策の成功に向け、人々の健康を守るために必要な感染症治療薬を、世界中の患者さまのもとにいち早くお届けできるよう引き続き努力するとともに、AMR感染患者への治療貢献、あるいは将来の脅威への備えとして、抗菌薬の適正使用を推進してまいります。

以 上

【体外診断用医薬品ドライプレートの製品概要】

 

製品名

塩野義製薬 MIC ドライプレート セフィデロコル

使用目的

セフィデロコルに対する感受性を測定し、臨床的診断を下すことを目的とした液体培地希釈法を用いたキット

発売日

2024年7月8日

包装単位

5枚/箱(1枚ごとに個包装)

希望小売価格(税別)

15,000円/箱

販売元

塩野義製薬株式会社

製造販売元

極東製薬工業株式会社

【セフィデロコル(製品名:フェトロージャ)について】

セフィデロコルは、多剤耐性菌を含むグラム陰性菌の外膜を効果的に通過して抗菌活性を発揮する新規のシデロフォアセファロスポリン系抗菌薬です。セフィデロコルは、細菌のカルバペネムへの耐性獲得に関連する3つの主な機序(βラクタマーゼによる抗菌薬の不活化、ポーリンチャネルの変異による膜透過性低下、排出ポンプの過剰産生による薬剤の細菌細胞外への排出)による影響を受けにくい特徴を有します。鉄と結合するセフィデロコル独自の構造を有することにより、細菌が養分である鉄を取り込むために利用する鉄トランスポーターを介し細菌内に能動的に運ばれることで、細菌の細胞壁合成を阻害します。セフィデロコルはこれまでに米欧台日において承認を取得し、欧州においてはFetcroja®、米国と台湾ではFetroja®、日本においてはフェトロージャ®の製品名でそれぞれ販売されています。セフィデロコルはWHOの必須医薬品リストにも掲載されており、また、多くの低中所得国、高中所得国で本薬を必要とする患者へのアクセスを改善するために、The Global Antibiotic Research and Development Partnership(GARDP)およびClinton Health Access Initiative(CHAI)との3者連携契約1を通じて準備を進めています。

 

【AMRについて】

薬剤耐性(AMR:Antimicrobial resistance)は、抗菌薬に対する細菌の耐性獲得により抗菌薬が効きにくくなることです。AMRは「サイレントパンデミック」と呼ばれ、人類が直面する世界的な公衆衛生上の脅威のひとつであり、緊急に対処が必要な世界規模の重要課題です2,3。2019年には、AMRにより世界中で127万人が死亡したと推定されています4。また、国際的な連携により対策を講じなければ、2050年までに年間1,000万人以上が命を落とす問題に発展し、世界経済に与えるインパクトは累積で100兆米ドルに及ぶとの予測がなされています5

 

当社のAMRに対する取り組みついては、こちらをご覧ください。

 

参考

1.     塩野義製薬、GARDP、CHAIによる細菌感染症治療薬セフィデロコルに関する ライセンス契約ならびに提携契約の締結について -135ヵ国でセフィデロコルへのアクセスを拡大-

2.     Antimicrobial resistance (who.int)

WHO. Antimicrobial resistance. Who.int. Published October 13, 2020.

3.     WHO Bacterial Priority Pathogens List, 2024. Accessed May 24, 2024. Available at: https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/376776/9789240093461-eng.pdf?sequence=1

4.     Antimicrobial Resistance Collaborators. Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. Lancet 2022; 399: 629–55

5.     160525_Final paper_with cover.pdf (amr-review.org)

O’Neill J. ‘Tackling Drug-Resistant Infections Globally: Final Report and Recommendations’. Review on Antimicrobial Resistance. May 2016.

 

[お問合せ先]

塩野義製薬ウェブサイト お問い合わせフォーム:

https://www.shionogi.com/jp/ja/quest.html#3.